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日本型モノづくりの敗北 を読んだ

日本型モノづくりの敗北 零戦・半導体・テレビ (文春新書 942)

日本の半導体業界について書かれた本です。
高いと言われてきた日本の半導体メーカーの技術力の正体や経営の実体について詳しく書かれていました。
また本書ではエルピーダで仕事をされた時の出来事やその後大学教授になってからの活動、また海外企業への技術流出について書かれています。

技術流出について韓国の半導体メーカーに「顧問団」として日本のメーカーの人間が毎週末韓国に渡り、技術を流していたそうです。
こういうのを見ると現在のサムスンの発展と日本の半導体産業の衰退は当然のように思えます。

半導体産業ということでルネサスの実情についても語られています。
安価なARM系CPUが圧倒的に普及する中で、ルネサスには頑張って欲しいと思っていましたが、本書を読む限りルネサスの経営はどうかと思うような話がいくつか書かれていて残念でした。


ちょっと話はそれますが、2013年の9月末にルネサスが受けた出資額は合計で1500億円だそうですが、これはドラマ「半沢直樹」の金融庁検査の回で登場した伊勢志摩ホテルへの貸付金とほとんど額です。

現実にこういう会社が存在するのだからドラマがヒットするのもなんだか理解できる気がします。

ルネサスの社員の方々も大企業が持つしがらみの中で仕事をされている方がほとんどだと思います。

本書には自動車業界とルネサスの関係も出てきますが、実際に私も、自動車メーカーがルネサスに対して、

  • 「評価の終わった製品については、使用したコンパイラのバージョンアップを禁止する」
  • 「CPUの内部回路の情報を全て提供させる」

というような要求を出すという話を聞いた事があります。

一事が万事そのような調子でやっていれば利益が上がらないのももっともな話ですね。

技術者としては、

「自己満足のために技術を追求しない」
「消費者につかってもらってこその技術力」
という姿勢の必要性を改めて感じる一冊でした。


[2016/4/5 追記]
本書で登場するエルピーダメモリについて語られた書籍「不本意な敗戦」を読みました。
湯之上氏はエルピーダの社員だった方ですが「不本意な敗戦」は経営者だった坂本氏によって書かれた書籍です。

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同じ場所で仕事をする方々の異なる立場で語られる意見を見聞きできるのは非常に面白いですね。